上肢の神経麻痺について2

“正中神経麻痺
   正中神経が支配する筋は前腕部では、円回内筋、長掌筋、撓側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、方形回内筋であり、手部では短母指外転筋、母指対立筋、短母指屈筋、第一、ニ虫様筋である。
   肘関節部より高位で損傷される高位型と手関節部で損傷される低位型、それに前骨幹神経のみが損傷されるものに分ける事が出来る。高位型は上腕骨顆上骨折に合併して起こることが多く、骨折による圧迫での麻痺であり、神経断裂はほとんどない。低位型は外傷によるものは屈筋腱断裂を合併するものが多く、また、正中神経も完全に切断する例が多い。前骨幹神経のみが麻痺する円回内筋症候群は原因が明らかでない場合も多いが、円回内筋両頭間、浅指屈筋の腱や上腕二頭筋腱膜などで生じる圧迫が原因と考えられている。
   麻痺による障害は短母指外転筋、対立筋麻痺のためつまみ動作が出来なくなり、横つまみとなりやすい。母指球の萎縮が著明になると猿手を形成する。猿手は、高位型の正中神経麻痺で多く出現し、低位型麻痺でも進行すれば母指球筋の萎縮が著明となり、やはり猿手を呈する。さらに高位型では長母指屈筋、示指、中指の深指屈筋、円回内筋、浅指屈筋、長掌筋、撓側手根屈筋の筋力低下が出現する。
   正中神経麻痺におけるごまかし運動は、長母指屈筋の麻痺があっても長母指伸筋と長母指外転筋の働きによって母指のMP関節を過伸展位に保ち、急に力を抜くと反動によって母指のIP関節を屈曲させる反動運動がある。

人工知能 できないこと