キリンホールディングスは3月23日、ミャンマーからの撤退を完了したと発表した。
同社は、ミャンマーの国軍系企業との合弁で、現地のビール会社「ミャンマー・ブルワリーズ(MBL)」を運営しており、キリンはMBL側に全株式を売却した。
売却額は約205億円。
キリンは、2021年の国軍によるクーデター以降、国営企業との連携に対する人権批判が高まったため、2010年2月にミャンマーからの撤退を発表している。
MBLの20年12月期連結決算(国際財務報告基準)によると、本業の利益を示す事業利益は138億円で、キリンの事業利益全体の8.5%を占めている。
キリンは、ミャンマー事業からの撤退を正式に完了した。ミャンマーは、連結子会社のミャンマー・ブルワリーズが主力ブランドのミャンマービールで8割近いシェアを誇り、キリンにとって「約束された市場」「ドル箱」のような存在であった。それだけに、キリンのミャンマーからの撤退は残念でならない。
キリンはクーデター直後、合弁事業を行っていた軍事関連企業MEHLとの提携を解消し、株式の譲渡と現地での事業継続の交渉を開始したが、MEHLが株式を手放さず、キリンは撤退を余儀なくされた。
石油大手のトタル・エネルジーやシェブロン、ノルウェーの通信事業者テレノールなど多くの多国籍企業がミャンマー事業からの撤退を決定する中、多国籍企業のキリンも国際的な批判を避けるためにミャンマー事業からの撤退を決定しました。
ミャンマーが正常化した後、キリンには再び同国の市場に挑戦してもらいたい。
カントリーリスク」の意味を考え直す時期に来ているのだ。そして、海外展開に失敗した多くの日本企業に共通しているのは、国際情勢が激変したときの経営者の決断と実行の速さである。
責任を恐れる経営者、変化を受け入れない経営者、一度決めたことを曲げない経営者。根深い問題があると感じています。
今日は以上です。